「北の湘南」伊達市に移住すると、何がどう違う?

「北海道に住みたい。でも雪かきは無理」。この矛盾した願いに、数字で答えられる数少ないまちが伊達市です。まず結論を表にまとめます。

項目 内容
降雪量(隣の室蘭の平年値) 年157cm(札幌は479cm=約3分の1)
年平均気温 8.9℃(札幌9.2℃とほぼ同じ)
移住支援金(東京圏から) 世帯100万円/単身60万円+18歳未満1人100万円
空き家取得費等補助金 最大100万円(2026年度分は受付終了)
子ども医療費助成 18歳の年度末まで(課税世帯は1割負担)
家賃相場 1LDK 5.4万円/2LDK 5.8万円/3LDK 6.5万円
人口 30,283人(2026年3月31日時点)

「雪が少ない」は本当か、札幌と数字で比べる

伊達市は北海道南西部、噴火湾(内浦湾)に面したまちです。「北の湘南」の呼び名から「北海道なのに暖かい」と思われがちですが、気象庁の観測値を見ると気温は札幌とほとんど変わりません。

  • 伊達:年平均8.9℃、1月−2.9℃、8月21.7℃
  • 札幌:年平均9.2℃、1月−3.2℃、8月22.3℃

違うのは雪の量です。伊達市内には積雪の観測点がないため隣の室蘭市の平年値(1991〜2020年)で比べると、ひと冬の降雪量は室蘭157cmに対して札幌は479cm。日本海側で雪を落としきった雲が山を越えて太平洋側に来るため、噴火湾沿いはまとまった雪になりにくいのです。

つまり伊達市の本当の強みは「暖かい」ではなく、**「北海道の冬の寒さはあるが、雪かきの回数が段違いに少ない」**ことです。ここを取り違えると「思ったより寒い」と感じます。冬の朝はしっかり氷点下になります。

注意:大滝区は別世界です。 2006年に合併した内陸の旧大滝村は、市の資料で年平均気温5.6℃・最深積雪142cmと、沿岸の伊達地区とはまったく違う気候です。「伊達市=雪が少ない」は沿岸部の話だと覚えておいてください。

移住支援金:世帯100万円・単身60万円+子ども1人100万円

国の制度を使った「UIJターン新規就業支援事業」で、東京圏からの移住者が対象です。

  • 世帯での移住:100万円
  • 単身での移住:60万円
  • 18歳未満の世帯員:1人につき100万円を加算

対象になる主な条件

  • 転入直前に連続1年以上、東京23区に住んでいたか、東京圏から23区へ通勤していた(過去10年で通算5年以上の実績も必要)
  • 移住後に次のいずれかを満たす:北海道のマッチングサイト掲載求人への就業/プロフェッショナル人材事業の利用/起業(地域課題解決型起業支援補助金の交付決定)/移住元の仕事をテレワークで続ける
  • 申請は転入(就業)から1年以内

テレワーク移住でも対象になる点は、会社を変えずに北海道へ行きたい人には大きな材料です。ただし市のページに「予算の範囲内で交付するため、申請時期によっては交付できない場合がある」と明記されています。年度後半は枠が残っているか、先に企画課へ確認してください。

家を買うなら「空き家取得費等補助金」最大100万円——ただし2026年度は終了

市内の空き家を取得する移住者向けに、基本額50万円、条件に当てはまれば最大100万円まで加算される補助金があります。

ここで知っておくべきなのは受付の実態です。2026年度は5月1日から10月30日までの受付予定でしたが、予算額に達したため受付は既に終了しています。年度の半ばで枠が消える制度なので、2027年度に狙うなら4月の受付開始と同時に動く前提で準備してください。

子育て:医療費助成は18歳の年度末まで。ただし「無料」ではない

2024年8月から、子ども医療費助成の対象が18歳到達年度末まで広がりました。高校生世代まで対象なのは道内でも手厚い部類です。

ただし「無料」ではありません。

  • 3歳未満、または住民税非課税世帯:初診時のみ自己負担(医科580円など)
  • 3歳以上の課税世帯:保険診療分の1割が自己負担(外来は月18,000円が上限)

多くの共働き世帯は課税世帯なので、実際には「1割負担で18歳まで」と理解しておくのが正確です。「伊達市は高校生まで医療費無料」と書いているサイトを見かけたら、この条件を確認してください。

暮らし:札幌まで特急1時間30分、新千歳空港へ車1時間15分

  • アクセス:伊達紋別駅から札幌へ特急で約1時間30分。新千歳空港へは車で約1時間15分、苫小牧港へ約1時間。道外への出張や帰省も現実的な距離です
  • 人口:30,283人(2026年3月31日時点)。2020年国勢調査の32,826人から減少が続いていますが、道内の退職世代が「雪かきのない北海道」を求めて移り住んできた歴史があり、移住者に慣れたまちです
  • 買い物・医療:市内に総合病院・スーパーがそろい、日常生活はコンパクトに完結します
  • 家賃相場:1LDK 5.4万円、2LDK 5.8万円、3LDK 6.5万円が目安(Yahoo!不動産の掲載物件の平均)。札幌市内より1〜2万円安い水準です
  • 農業:北海道農業発祥の地のひとつで、温暖な気候を活かして100種類を超える野菜を生産。家庭菜園デビューにも向いた土地です

なお市の移住体験住宅「ちょっと暮らし」は、2025年度から新規受付を停止しています。下見は自分で宿を取って、できれば1月か2月に訪れてください。雪の少なさは冬に来て初めて実感できます。

グルメ

  • 伊達野菜:「北の湘南」の気候が育てる多品種の野菜。直売所めぐりが楽しい
  • 噴火湾のホタテ:肉厚のホタテが日常の食卓に並びます
  • 黄金豚(こがねとん):地元ブランド豚も人気です

まとめ:「雪は無理、でも北海道」の現実解

伊達市は、北海道の大自然に住みたいが豪雪は無理、という人の現実解です。気温は札幌並みに寒いものの、雪の量が3分の1なら雪かきの負担はまるで違います。支援金は世帯100万円+子ども加算とまとまった額ですが、空き家補助が年度途中で締め切られた例のとおり、制度は早い者勝ちの側面があることは覚えておいてください。

北海道の他の候補地と比べたい方は北海道の移住先まとめも参考にしてください。

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